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Love and Romance Short Stories 2   トラワレビト 1

先にお詫びします。 すみません
旅行前に一つお話を仕上げたいと思って、このお話を選んだのですが、書き終わらなくて、2話に……
後編、旅行前にUPできるか……?
もしかしたら、10日以上先になってしまうかもしれません(汗)

後編できていないのに、UPさせるのを、かなり迷いましたが、新記事おまちの方が、わずかですが、いらっしゃるということと、ブログ開設して、100日という節目だったので、UPさせます。

このお話は、なんと~! 初・片思い期の爽子のお話です。
甘~いお話の次なので、酸っぱい?ならいいけど、書いてみるとかなり、暗い……。

ブログに全て両想い期とうたってましたので、知らずに読まれる方、暗い片思い期、苦手の方は、
どうぞ、ご注意ください。

ホントに、後編まで時間空いてしまう可能性大!です。
申し訳ありませんm(_ _)mが、ご了承いただけるかたのみ、ご覧くださいね。











あれ以来、目が合うことすら、ない。


この前まで、小さな幸せが、波のように次々と、生まれていたのに。
     風早くんと、視線を合わせるだけで。

胸の中にやわらかな灯りがともるような、心がぽっと温かくなるような、
かえがえのない、一瞬の宝物。

席を立って、教室を移動するとき。
廊下を歩いている時。
椅子に座って、ぼんやりと前を見ている時。

何気なく、お互いに遠慮がちに、視線を結ぶ。
たくさんの人の中から、特別に自分だけを、見つけてもらえたような、
くすぐったい感覚。
まばたきの内に、過ぎ去ってしまうような、つかの間の、小さな幸せの瞬間。

毎日、指を折って数えていた。
今日は、たくさん、笑顔を見れた、とか、
何回、おしゃべりできた、とか。

昨日よりも、今日、今日よりも、明日。
色のついた毎日が、とにかく楽しくて、仕方なかった。


少しづつ、想いを積み重ねていくだけで、満足していたはずだった。
いつの間にか、変わっている自分に気がつくまで。
どんどん、欲張りになっていく、自分を見つけるまで。
    そう、ほんの、少し前までは。


あの時から、全てが、変わった。
校舎の裏側に、風早くんを追っていった時。
輝いていた時間が、ぴたりと止まって、代わりにやってきたのは、
胸が張り裂けるような、痛み。
はっきりと、思い知らされた。
最初から、分かっていたことを。
俺の「すき」と、黒沼の「すき」は違うね、って。

あふれ出す涙の向こう側の、表情はつかめなかった。
でも、まるで、念を押すような、確かめるような、口ぶりだった。
俺の気持ちはわかってるよね、というような。

「好きだよ」という言葉の意味が、やけに深く、心に響く。

あの時から、幸せな時間は、凍りついたまま、動かない。                         
代わりに今、大切にしている宝物が、少しづつ、壊れてるような、
痛みに襲われている。
目の前から、ふわふわした幸せが奪いとられて、
凍てつくような寂しさが、心の中の光を覆い隠していく。
大切なものがなくなって、胸に大きな穴が開いたような、空白感。
    心臓に刺さったままのトゲは、どうすれば、抜ける?


今、残された宝物を、必死に守るかのように、
風早との思い出をたどりながら、校舎のあちこちを、あてもなく彷徨う。


初めて、名前を呼ばれた、花壇。

1年生の時の教室。

手をひかれて、連れて行かれた中庭。
    この時、恋を、自覚した。


一度は心の中に閉じ込めた、眩しい笑顔、耳に残る朗らかな声。
淡い想いの中の風早は、いつも真っすぐに目をみて、そして、笑いかける。
静止画像のように、心の中に焼きつく記憶を、繰り返し、繰り返し再生する。
笑顔を心に描くだけで、自然にやわらかな笑みが浮かんだ。


毎日、教室で、会えるだけでも幸せ、なんだよね。
……忘れないといけない、よね。


重たい足取りで、一段、また一段と、階段を上っていく。
体に力が入らないせいか、
手すりをつかむ手にかかる重みが、やけに、辛い。
いつの間にか、今の教室の前に、立ちすくんでいた。

いつも、にぎやかな声があふれ出てくる、教室。
今は、ドアを引く音までもが、もの悲しく、響く。
空はもう、いつも通りに赤みを帯びたオレンジ色に染まり、夕方の風が頬に冷たい。
自分の弱々しい、足音だけが、教室の中に沁み渡っていく。

教卓の横を通り過ぎる。
見えない力に引き付けられるように、自分の席とは、違う方向へ歩み寄る。
視線の先にあるものは、大好きな人の、机と椅子。

廊下の窓に近いこの席は、風通しが良い。
通り過ぎる風の中、気持ち良さそうに目を細める風早の姿が、目に浮かぶ。

風早くんの場所から、どんな風に見える?
風早の気持ちを知りたくて、少しでも心を分かち合いたくて、
目に入るもの全てを、ひとつひとつたどっていく。

いつも座っている椅子。
肘をついたり、本を読んだりする机。

……ちょっとだけ……ちょっと、座るだけなら、許してもらえるよね。
これ以上のことは、決して、望まないから。

少しだけ、と、願うような気持ちで、椅子をひいた。
予想に反して、大きく反響した椅子の音に、心臓が、小さく震える。
ひんやりとした木の感触が、腕にあたって、なんだか心地よい。
乾いた気持ちがなぜだか、ほっとさせられて、素直に心をゆだねた。

机の表面につく、小さな傷の一つ一つが、とても、愛おしく、感じる。
それぞれに、風早のぬくもりを感じて、大切なものに触れるように、そっと撫でていく。

ついさっきまで、確かに、風早がここに座っていた。
椅子にすわっているだけで、風早の影を、感じる。
少しならいいよ、と、風早の世界の中へ、入ることを許された気がした。
   ありえないことなのに。

残っているはずもない、風早の体温を感じるような錯覚に落ちて、
やわらかな幸福感に包まれる。
胸をしめるつらい重みが、凍えていたものが、
一瞬のうちに、溶けだしていく。
だが、すぐに、また、急激に、冷えていく。

最後に見た、風早の顔は、見た事もない、痛々しい、表情だった。
辛そうな顔をさせてしまったのは、他でもない、自分なのだ。

止まってしまった時間の中で、取り残されたような、
見捨てられたような、疎外感に襲われる。
胸に石を詰めたような、重い気持ちを、このまま抱え込み続けるのだろうか。

このまま、風早くんとの間に、壁を感じたままで……?
もう、ずっと声もかけられなかったり……する?

おはようって挨拶も、できないのかな。
背中だけ……見続けるのかな。
風早との記憶が、急に溶けだすように、心からあふれだす。

照れた横顔
あわてた顔
真面目な顔
真正面からの満面の笑顔

ぜんぶ、ぜんぶ、もう、みれない……?
二度ともう、あんな風に視線を合わせることも、ない……?


目の奥が、熱くなっていく。
こらえていた心に、悲しみを気づかせるかのように、
自分の手の上に、涙のしずくが落ちてきた。
   泣いていることを知る。

長く、深い、息をつく。
いつの間にか、こぼれだしていた、目じりに残る涙を、ぬぐった。
もう帰ろう、と、帰り仕度をしようとして、風早の席から立ち上がろうとした時、
椅子を動かす手がとまった。

ゆっくりと顔をあげて、教室の後ろを振り返る。

……まぼろし?

大きく心臓が波打った。
いつの間にか、ドアの前に、風早が立っている。


黒沼……と、声にならないままで、風早の唇が動いた。














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