FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

雪の上のラブレター 21

やっとやっと序章の部分まできました~。
ここまでのお話でなんと20話も!

みなさま、長いお付き合い、ありがとうございます。
拍手コメントお礼のせてます。お心当たりの方、リンクのFC2 PIYOご覧ください。

ここから、風早の熱い思い、爆発!? ( ̄ー ̄)ニヤリッ






黒沼の手をひきながら、静まり返った廊下を通り抜けて部屋のカギを開けた。
俺はすでに大分自分を取り戻していて、
今はふつふつと湧き出す自己嫌悪に襲われている。

ドアを開けた時、黒沼は中に入るのを一瞬、ためらっているように見えたが、
意を決したように俺の後から入ってきた。

「黒沼、何か飲む?」
返事も聞かずに、とりあえず、テーブルにジュースをおく。
二人とも黙りこくったままだ。
窓の外では降りはじめた雪が、物音ひとつない世界を作り始めていて、
俺たちのいるひっそりとした部屋と、まるでつながっているようだ。

黒沼がちらちらと俺の様子を窺いながら、口を開いた。

「風早くん、何か、怒ってるよね……私のせいかな?」

すぐには返事を返さずに黙ったまま、ベッドに腰掛けてジュースを飲みつづける。
かなり甘いはずなのに、全然味がしない。

「……黒沼のせいじゃないよ」

大分落ち着いたとはいえ、それだけいうのが精いっぱいだった。
今、口を開けば、自分の独占欲を振りかざしてしまいそうで、
これ以上何もいうことができない。


黒沼に対する独占欲には、もうとっくに気が付いている。

   恥ずかしいし、ずるいし、弱くて、汚い。

頭では分かっているけれど、
子供っぽい感情だと思うけれど、
そんな嫌な感情が湧き上がってくるのを止められない。


   誰にも触れさせたくないんだ。

   俺以外が黒沼に触れるのは許せない。


「俺って、独占欲ありすぎ」
手の中でカラッポになったカンをもてあそびながら、ぼつりとつぶやいた。


「あの……、風早くんが怒ってるのって、もしかして相沢さんのこと?」
俺の隣に座りながら、おずおずと黒沼が口を開く。

「そーだよ」

「相沢さんが、もしかして、……私と……近かったりしたこと、怒ってる?」

「……そーだよ」

目の前であんな風にベタベタされて、我慢してられるほど大人じゃない。
胸がむかついたし、腹立たしくてしょうがなかった。

「……俺、めちゃくちゃ気分悪かった。
あんなとこみてたら、もう、カッコつけてる余裕なんてない……」

これ以上はヤバい……
これ以上口にだすと、あの時のいらだちがよみがえってくる気がする。
さっきだって、殴りかかりたい思いを懸命にこらえた。
昼間だってそうだ。
あいつが黒沼と一緒にいるって聞いただけで、気分が悪くなった。

「ごめんなさい……」という黒沼の小さな声がきこえた。
黒沼の表情をみて、俺の心が痛んだ。

「違うんだ……! 黒沼に怒ってるんじゃない……」

そう、黒沼に怒っているんじゃない。
あいつと、このどうしようもない感情をもてあます自分自身に、腹をたてている。

「あ、あのね、すごく近いなあと思ってたし、すごいスキンシップだなあとは、
思ってたんだけど、みんな結構近寄って座ってたし、
それに……それに、さっきのほうがもっと怖かったから……」

   え?」 

眉をよせて、黒沼の顔をみた。
手の中で落ち着きなく動かしていた、空きカンの動きがとまる。

俺に真正面からみつめられているせいか、
それとも別の理由からなのか、黒沼は、はっとしたような顔をしている。

「さっきって……何?
あいつと……何かあったの?」
自分の声が恐ろしく低く感じる。

「ううん、なんでもない、あっ、あの、私、先にみんなのところに戻ってるね」

何かマズイことをいってしまったかのように、黒沼があわてて立ち上がった。
何かが、あいつとの間にあったと確信する。
黒沼のさっきの元気のなさを思い出して、心臓のあたりがざわついてきた。
俺はそのまましっかりと黒沼の手首をつかんだ。

「……ちゃんと、答えるまで、離さない」

「えっと、あの……」
黒沼はそわそわして、落ち着きなく、視線をさまよわせている。

「あ、あのね、私がいけなかったんだけど、
うん……さっき、相沢さんの部屋に、今日のお礼にと思って、飲み物買っていったの。
その時、ちょっとだけ話して……」

「……あいつの部屋に入ったの?」

「……う、うん、私がいけなかったんだ、前に風早くんに言われてたのに……
でも、でも……なんでもなかったよ」

「黒沼……俺の目、みていって」

「………」黒沼は下を向いて黙り込んでいる。

「黒沼、ちゃんといって」
自然に声に熱を帯びる。

「うん、なんでもなかったんだけど……ただ、ちょっと髪に……」

思いだしたように黒沼は自分の髪にさわっている。
そのまま少しおびえたようにまつ毛をふせた。

「……髪に……触られただけ……
キスしていいか?って聞かれただけ。
でも、ちょっと……ちょっと怖かった」

「……アイツ!」

黒沼の話を聞いて、いてもたってもいられなくなり、立ち上がった。
だが、ドアのほうへ向かおうとした俺の腕を黒沼がしっかりとつかんだ。

「待って! 待って、 風早くん!
ホントになんでもないし、私が軽率だったの!
ホントに……ホントに何でもなかったの」

俺の体から発するただならぬ空気を感じ取ったのか、黒沼に押しとどめられた。
必死で俺にしがみつく黒沼に勢いをそがれた感じで、
詰めていた息をふうっとはきだす。

「………それに、私も気づかされたから、大事なこと。
だから、ホントに……いいの」

大丈夫だから、といわれて、強く手を握られた。
俺は行き場のない怒りを逃がすかのように
空きカンをゴミ箱に思いっきり放り込んだ。
カラカラと音をたてながら、放り込まれたカンがいつまでもゴミ箱の中で回っている。


……目の前で見ていない分だけ余計な想像が働いてしまう。


「……だから、目を離せないんだ」
深い、深いため息をつきながら、ベッドに座りこんだ。

「……あんなふうに男の人、怖いって思ったの初めてだったから……」

「怖い……?  俺は……?
俺だって男だよ……
俺と二人でいるのは、怖くないの?」

……黒沼は俺のこと、どう思ってる?
俺はいつだって黒沼のことを求めてる。
欲しいっていう気持ちをガマンしてる。
でもそれは尊敬とか、そんな感情で自分を美化されたいからじゃない。
俺だって一人の男なんだ。

答えを待つわずかな時間が、とてつもなく長く感じられる。
黒沼はスカートの裾をぎゅっと握って、固く目をつぶっている。
俺は答えをうながすかのように、黒沼の手に自分の手を重ね合わせた。
大きな目がゆっくりと開かれ、みつめられる。


「風早くんは……風早くんは……私にとって特別な人だから」


一瞬心臓が鼓動を止めた。
だが、それはつかの間のことで、すぐにさっきよりも激しく波打ってきた。
優しい気持ちが心に広がっていき、重ねた手に力をこめる。

「俺が、黒沼のこと、どんなに思ってるか、知ってる?」

黒沼は何て答えていいかわからないようで、とまどった顔をしている。
きゃしゃで線の細い体は、強く抱きしめるとこわれそうな気がした。

背中に腕をまわして、そっと抱き寄せる。
抱きしめて、その体のぬくもりを感じた瞬間、体の中心から熱い熱が生まれてくる。
優しい気持ちが、ゆっくりと欲望の熱に蹂躙されていくのを感じた。

しばらく黒沼のぬくもりを感じた後、
体を離して彼女をみつめる。

漆黒の瞳に吸い込まれそうな錯覚がおきる。
自分でもこわいくらいに彼女を求めている。
いつもの俺ならここで引き返したに違いない。
ふたりだけで部屋にいるなんて、黒沼と目もあわさずに布団をかぶっていただろう。
    でも、今は違う。


黒沼が相沢の部屋に入ったという事実。
昼間みた二人の残像、それにさっきの相沢の態度。
心の中で勝手な想像がふくれあがって、
普段は抑えつけている独占欲、それに嫉妬心が俺の心から引きずりだされている。

一時も目をそらさずに見つめていたせいか、黒沼が恥じらいがちに目を伏せた。


「俺がワガママなの、分かってないよね?
どうしようもなくワガママなんだよ。 黒沼のことだけは」


黒沼の体を引き寄せて、今度は力をいれてぐっと抱きしめた。












[君に届け 二次小説 風早 爽子] ブログ村キーワード
ランキングに参加しています。ランクインするとたくさんの方が訪問されるので励みになります。
ぽちっと応援していただけるとうれしいです。
にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村

関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

Re: ガンバ

じぇぐ様

長編なのでたくさんのもどかしさ、はらはら
たくさん味わってくださいね!!

この作品では風早ちょっと熱くさせすぎたような……
大丈夫かな、とちょっと心配になってます。

今日から夏休みですね。
子どもがうるさくてなかなか妄想の世界へ行けません~。

ガンバ

風早・爽子ガンバって、もう少し素直に気持ち伝えられたら
いいのに、WA-このもどかしさがたまらない~~うふふ
最新記事
プロフィール
君に届け大好きな管理人です。仕事の合間に少しづつ、UPしております。 ブログ拍手重視しておりますので、お楽しみ頂ければ、拍手頂けると、日々の励みにさせていただきます。 又、日々の中、努力しながら生み出している作品です。無断転載、複製などは固くお断りいたします。 中傷は困りますがコメント歓迎です。初めての方でも作品の感想などお気軽にどうぞ。

ぽぷら

Author:ぽぷら
FC2ブログへようこそ!

カテゴリ
月別アーカイブ
ブログランキング
ランキングにもご協力いただけたらうれしいです。お楽しみいただけたら、下のバナーをクリックいただけると、執筆の励みになりますのでよろしくお願いたします。
にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村 FC2 Blog Ranking
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。