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雪の上のラブレター 12

あっという間に12話になってしまいました(汗)

『君に届け』の二次小説は星の数ほどあり、
本当に素敵な、もうホントに素敵すぎるサイトが
たくさんある中で、私のこんな稚拙な長いお話にお付き合い頂いて
いいんだろうかと、うれしいながらも恐縮してます。

毎度いっている気がしますが、
「いつもお立ち寄り頂き、本当にありがとうございます」です。




「見て! 風早くん、ほら!」
ゆっくりと進むボードの上でこわごわバランスをとりながら
爽子が嬉しそうな声をあげた。

「うん、その調子だね。 黒沼、頑張ったもんな」
何度転んでも頑張り続ける爽子を思い出したのか、
風早は温かなまなざしを向ける。

「風早くんのおかげだよ!
でも、大分お尻が痛くなりました……」
爽子が笑いながらえへっっとお尻をさすった。

風早がつきっきりで教えた成果か、
爽子はターンの時は転ぶものの、ゆるやかな斜面では
なんとか立っていられるようになってきた。
これなら、もっと滑ればどんどん慣れていく、
風早はそう考えた。

「黒沼、バランス、大分良くなったね。
同じくらいゆるい斜面で、もう少し長いコースがあったから、
今度はそっちに行ってみよっか」

さっきリフトに乗った時の自分の失態が、
爽子の胸をよぎった。
また、転びそうになったらと気が気ではなかったが、
そんな心配をよそに今度はなんとか、転ばずにのれた。

「今度は大丈夫だったね」

隣で緊張して黙りこくっている爽子を心配した風早が、
にっこりと、心を解きほぐすような笑顔を向けた。
その笑顔を見た途端、急にさっき抱きあげられたことが
思いだされた。
風早に抱きあげられた時の感覚が、
爽子の心の中にあざやかによみがえってくる。

風早の体にすっぽりと包みこまれたような安心感、
しっかりと抱き上げてくれたたくましい腕、
体のぬくもり、風早のにおい……

思わず風早の体の感触を思い出してしまった自分が、
とても、恥ずかしく思えた。

なんだか自分の周りをとりまく空気が、急に熱くなったような錯覚が起きる。
「きゃーー!」
思い返してしまったことを消すように、目の前の空気を手で振り払った。

風早はそんな爽子を不思議そうな顔をしてみていた。
だが、自分の言葉を聞いて赤くなった爽子の赤面の理由に、突然気がついたようで、
急にぼっと顔を赤くした。

「……なんだか、暑いね……」
「……うん」

互いに顔を見られないように、互いと反対の景色をみる。
その間にもリフトはどんどん進んでいく。
到着した二人の目の前には、昼食を約束したロッジが建っていた。

それを見て、風早が思いついたように
「黒沼、ずっと滑りっぱなしでのど、かわいたでしょ。
俺、なんか飲みもん、買ってくるよ」
ロッジの中に入っていった。

風早を待つ間、爽子はロッジの前にあるコースの案内板を見ていた。
「爽子ちゃん? 休憩中?」
振り向くとボードを抱えた相沢がいる。

「はい、今、風早くんが飲み物買いにいってくれて」

「どう? 大分慣れた?」

「なんとか、たっていられるようになりました」
ほっとしたような嬉しそうな表情を相沢に向けた。

「へえー、すごいじゃん、姿勢見たいな、
ちょっと滑ってみてよ。」

「あ、あの、滑れるというか、のってるだけなんです」
滑れるなんてとんでもない、とばかりにあわてて否定する。

「いいよ、いいよ、じゃあ、こっちきて」
たてかけてあった爽子のボードの持ちあげて、
爽子の腕をぐいっとつかんでひっぱった。 
     
「風早くんが……」
爽子は驚いて立ち止まろうとしたが、
強く腕をつかまれているので振りほどけない。
そのままぐいぐいと斜面のスタート地点まで
連れて行かれた。

「はい、ちょっと姿勢みたいからボードの上、たってみよっか」

「相沢さん、私、風早くん、待ってるんです」

「分かった! すぐ戻ろうね。
まあ、せっかくここまできたから、ちょっと見せてよ。
足のせて、バインディングつけてみて」

早く風早のところに戻りたいと思いながら、
言われた通りに装着した。
風早が戻った時に自分がいなかったら、
きっとすごく心配するに違いない。

「うん、姿勢もいいね。
じゃあ、ちょっと滑ってみよっか」

相沢が楽しそうに声をかけてきた。
えっ?と声を出す間もなく、爽子の背中がとんっと押された。

「え? あっ!! きゃーー!」

ゆるやかな斜面の上をボードがどんどん直線に進んでいく。
まだ、ターンができないので、転ばずにボードの上にのっているのが精いっぱいだ。

「と、止まれませーーーーん!」

そのまま、何とか転ばずにふんばりながら、危なっかしい様子で斜面を滑り降りる。
やがて、平坦なコースになり、ボードのスピードが落ちた時、
やっと落ち着いて周りを見回した。

「あれ……なんだか、結構すべってきちゃったかな……」

さっきリフトから見た景色とは様子が違うことに気がついた。
不安になって周りを見回すと、
後ろからスピードを出した相沢が、爽子の後を追いかけるように斜面を滑りおりてきた。

「爽子ちゃん、すごいじゃん!! ターンはまだみたいだけど、
ちゃんとのってられるんだね」

「相沢さん……! 私っ、風早くんを待ってたんです、
風早くん、きっと心配してる……!」
焦りながら相沢に詰め寄った。

「風早? すぐに後からくるでしょ。
それまで、俺が教えてあげるよ、
さ、その調子でどんどん行こうか」

「そんな、困りっ……!」
爽子が言い終わる前にもう一度、背中をぐいっと押された。
スルスルとまたボードが進みだす。
斜面ではないとはいっても、
自分でコントロールできないのだから、
今にも周りの木々にぶつかりそうで怖くてたまらない。

「相沢さん、お願いっ! 押さないでーーー!」

爽子の意志とは関係なしに、ボードはどんどん進み続けた。





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