ナサケはひとのためになる? 3
3番目のお話です。
「おかえり。あれ? さわこ?
どうしたんだ? 顔、赤いぞ」
ドアを開けた瞬間に目があったお父さんが、心配そうに声をかけてくれた。
「あっ、お父さん。ただいま!
大丈夫。なんでもないよっ!!!えっと先にお風呂入ってくるね!!」
顔を見られないようにお風呂場に駆け込んだ。
はっ~~~。今日は失態しちゃった…。
風早くんに言われるまで、全然気がつかなかった。
ホント恥ずかしい…
…はしたないって思われたかな。
…だらしがないってあきれたかな。
も、もしかして嫌われた??
ああぅ、もうぅ~~~泣きたい!!
しかも、しかもだよ!風早くんがそんなこと
教えてくれたってことは、
風早くんに……しっかりみられたって… ことで…/////
「ぎゃーーーーーーーー!//////」
「さーわーこー?どうしたの?大きな声だして?
ゴキブリでもいたの?」
台所から呼びかけられた。
「お、お母さん、なんでもない。
ちょ、ちょっと、すべっただけ」
焦りのあまり思わず大きな声を出してしまった。
あわててごまかして、焦りながら記憶をなぞる。
えっと、えっと!わ、私、今日ってどんなブラだったっけ?
きゃ、きゃ~~(/////)
あ~~~今日ってこんなへんなブラだったんだ…
もっとかわいいのしとけばよかったかな…
この前買ったピンクのやつ。
いや、そんな事思うなんて。
私ってば!なんてはしたない!!(/////)
そう、そうだよ。私ってば、考えすぎだよね。
風早くんがそこまで見たかどうかわからないのに。
でも… こうやって鏡の前であらためてみると…。
あ……なんだか……
私の胸って小さいっていうか、ひ、貧弱???!!
か、考えた事なかったけども!
そういえば、とたくんにも巨乳じゃないっていわれた。
もしかして私って、女性としての魅力に欠けているのでは??
ど、どうしよう!!
これって自然に大きくなる?…のかな。
やっぱり男の人は胸の大きい子のほうがいいよね…。
一体どうしたらいいんだろう?
どうすれば胸が大きくなるんだろう?
はっ!そうだ!図書室に胸を大きくするために役にたつ本があるかもしれない!!!
早速明日行ってみよう!!
明日、必ず図書室にいくことをかたく誓って鏡の前を離れた。
あーあ。昨日はどうしたらいいのか考えすぎて、よく眠れなかった。
重い頭を抱えながら、教室への階段を上る。
すると後ろから聞きなれた声がした。
「おはよ~、さだこちゃん」
「あっ!!師匠!おはようございます」
明るい声で挨拶をしてくれたのは
健人だった。
「あのっ!!師匠にちょっと聞きたいことが…」
「ナニ、ナニ~なんでも聞いていいよ~」
健人は少し上を向いて得意そうな顔をした。
「男の人って、やっぱり胸が大きい女の人が好きなんですか??」
「えっ!ナニ突然!」
健人が急に身をのりだした。
「一般的にはどうなんでしょうか??」
「う~ん。そうだね~。
……まあ、ないよりはあったほうがいいかなあ。」
あごに手をあててちょっと考える様子をしながら、
健人は答えた。
やっぱり。やっぱり世間ではそうなんだ……
ないよりはあったほうがいいか…。
確かにそうだよね。別にジャマになるものじゃないもんね。
それに胸が大きいほうがやっぱり女らしいし。
テレビの女の人とか、みんなウエストは細いけど、胸は大きいもんね。
「まあ、俺はどっちでもいいけどね」
と、いいながら健人はさらに言葉を続けた。
「風早もどっちでもいいと思うよ~~」
だが、爽子の態度が上の空なのに、気が付いて
「…聞いてる??」
と、あいづちを促した。
「えっ///! イヤ……ハイ、そうだと思います、はい。//////」
健人の話は胸はあったほうがいいというあたりから
全く耳に入らなかった。
やっぱり図書室に行かなきゃと、もう一度強く決意する。
やっぱり、私も胸が大きくなりたいな~~。
風早くんに似合いの女の子になりたい…
「さだこちゃん、いいの? 1時間目は体育だよ」
突然健人の言葉で現実が頭によぎった。
「いっけない!着替えにいかなきゃ。師匠、どうもありがとう!!」
急いで階段を上り、教室のドアを開けると、
みんなもう着替えの真っ最中だった。
あわててカバンから体操着を出す。
「あっ!!あやねちゃん、ちずちゃん、おはよ」
「おはよ、爽子」
爽子たちの横で隣のクラスのくるみが着替えていた。
思わずくるみの胸のあたりに視線がとまった。
あ…くるみちゃんが着替えてる…。
くるみちゃんスタイルいいなあ。
なんかモデルみたいでホント、お人形さんだなあ。
「はーー。わたしってやっぱり胸が小さいなあ」
えっ!あたし、今声にだしてなかったよね??
ため息まじりのその声は自分の左側にたっていた
えっこの口から洩れたものだった。
「えっこはさ、胸、確かに大きくないけど、形いいよね」
あやねがなぐさめるようにえっこをフォローする。
あーびっくりした。えっこちゃんの話か。
見ると、えっことあやねがお互いの胸を手ではかるような
仕草をしながら見比べていた。
「あやねちゃんは、胸大きいよね。
私、もうこれ以上大きくならないのかなあ」
「あはは。彼氏にもんでもらうと、大きくなるっていうじゃん」
へ~。そうなのか。彼氏にもんで… って!!
彼に? もんで???
「ちょっと、さわこ、何、人の胸凝視してんのよ?」
自分の胸をじっと見ている爽子に気が付いたあやねが
問いかけた。
「えっー!あ、あ、ごめんなさい。
ど、どうしたらあやねちゃんみたいに大きくなるのかと思って」
「ははーん。あのねー。さわこ、いい事教えてあげるよ。
王子様にさわってもらうと大きくなるらしいよ」
「えっ!! ホント! 王子様に??」
王子様…って?
王子様って風早くんだよね……?
風早くんにさわってもらう?
「え、え、えっーーーーーーーーーー!!!!」(//////)
周りのクラスメイトが何事かと一斉に爽子を見る。
「ちょ、さわこ、声大きいよ!」
「あ、あ、あ、あやねちゃん…。 それはちょ、ちょ、ちょっと//////」
「そーお?
さわこが頼めば風早、喜んで手伝ってくれると思うよ。
アハハハ!」
(//////)風早くんに、さわってもらう??
わ、私の胸を??
か、風早くんに… 胸を…
ありえないーーーーっ!
ム、ムリ、絶対ムリですう(///)
ごめんなさい!風早くん!
ちょっとでもそんなこと、考えてごめんなさいっ!
私は不埒ものですぅ---! (//////)
今日は頭からなかなか胸のことが離れない。
ぼうっとしていることが多く、授業もなかなか頭に入らなかった。
「ほらっ。さわこ授業はじまるよ」
やっとお昼の時間になった。
ちづちゃんが
「さわこ、お昼食べにいこ」
と、誘いにきてくれたけども、
気になっていることを解消したかったので
「あっ!!ごめんなさい。私、ちょっと調べ物あって。
図書室行くから先に食べててね」
と、いって先に図書室へいった。
調べものはやっぱり図書室だよね。
えっっとお。人体の事だから体育のコーナーかなあ。
『体のストレッチ』
『体幹をきたえる』
『筋肉の鍛え方』
う~ん。なんだかちょっと違うかなあ…。
あ、でも胸も筋肉なのかな?
でも筋肉にしてはやわらかすぎるような…
「おう。くろぬまか。オマエ昼休みまで図書室か。
ちゃんとメシくったのか?」
真剣に本を吟味していると突然、後ろから声をかけられた。
「あっ、荒井先生!!こ、これからです」
「ちゃんとメシくわねーと、出るとこもでねーぞ!グハハ!」
「ハッ…!! やっぱり…私、出てないですよね…」
「ん? どうしたんだ」
なんか反応おかしーぞ、コイツ、どうしたんだ?
「先生は体育教師ですよね」
「そ、そーだぞ。 おまえ、今更何いってんだ??」
「人体の事お詳しいですよね?」
「ハア~?何の事いってんだ?」
「先生!!」血相を変えた爽子が詰め寄った。
「お、おぅ…」
なんだ、なんだ、今日コイツ迫力あるぞ!
「私、教えてほしいことがあるんです!」
「な、ナンダ???」
「わ、わ、私の胸! 胸を!大きくしてくださいっ!!!」
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