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真夏の果実 9  (完)


なんだろう。何だかとても気持ちいい。
誰かが、誰かの細い指が、優しく俺の髪を撫でている。
ふんわりしたやわらかな花の香りが漂ってくる。
髪にそうっと指をからませて、俺の髪を
サラサラと優しく撫でている。

せっけんか、シャンプーかな。
ああ、そういえば黒沼からもこういうやわらかな香りがするな。
……気持ちいいな。 
幼い頃、眠る前に母さんがこんな風にしてくれたっけ。
サラサラ、サラサラって。黒沼みたいな細い指で
優しく髪をなでて…そう、黒沼みたいな… 
そうだっ! 黒沼!!

バチっと風早が目をあけると目の前に驚いた黒沼の顔があった。

「あっ。お、おはよう!」
「お、おはよう」
がばっと跳ね起きて、周りを見た。
そうだ、昨日ここに泊って
……俺、いつのまにか寝ちゃったんだ。

「ご、ごめんなさい。私、起しちゃったみたいで…。
風早くんが、その、あまりにもカ、カワイイ顔して
ぐっすり眠ってたから、ちょ、ちょっと、
さ、さわってしまいました」(/////////)

かわいいって…?
「い、いーよ。もう、起きなきゃいけないし、な」

そっかあ。黒沼が触ってたんだ。(/////////)
俺、あのまま寝ちゃったんだな。
確か、黒沼の事が気になって気になって、
なかなか眠れなくて…。
…眠れて、良かった。眠れないかと思ってた。
あのまま、起きてたらホント、きつかった。

カーテンの隙間からは夏の爽やかな日差しが覗いている。
窓の外ではたくさんの鳥がさえずっており、
部屋の中まで聞こえてくる。

「あの~。風早くん。私、昨日のこと、よく覚えてなくて」
座ったまま、もじもじしながら、黒沼が問いかけてきた。

「ジュース飲んで美味しくって、頭がぽ~とするなあって思って、
いつの間にか眠ってしまったみたい。
…私、何か失礼な事しなかった?」

「黒沼…。昨日の事全然覚えてないの?
……ほんっとに? 全く?」
俺はまじまじと黒沼の顔をみながら確認した。

「う、うん……」
「そっかあ。はあーーー。」
全身から力がぬけていく。
ほっとするやら、残念やらの複雑な気持ちが俺を襲う。

「黒沼、あれお酒が入ってたんだよ。
随分たくさん飲んじゃったみたいで寝ちゃったんだ」
「えっーー!、お酒だったの? 
甘いからジュースだと思ってた……」

「あのさ……」
驚いて目をパチクリさせている黒沼に、
真剣になって語りかける。
俺の真剣な様子を見て、何事かと思ったのか
黒沼もじっと見つめ返した。

「俺がいない時はぜーーーーったいに!
絶対に、他の人の前ではお酒のまないでね。
約束だよっ。約束!!
約束やぶったら、俺、絶対イヤだかんね」
しっかりと黒沼の両肩をつかんで念押しをする。

「ハ、ハイ」
俺の迫力に押されたかのように黒沼はうなづいた。
何かちょっと変に思ったかな!?
でも、あんな風に無防備に甘える黒沼は絶対に誰にも見せたくない。

「風早くん、私、何か、失礼な事してしまった、のかな?
もし、そうなら、本当にご、ごめんなさい」
「イヤ、そんなんじゃ…ないよ」
昨日のことを思い出して、黒沼から目をそらした。
頬が熱っぽくなるのを感じる。

「ほんと、ごめんなさい。
この、このお詫びは今度キチンとしますのでっ」
「えっ!いいよ、そんなの。ホント、大丈夫だから」
「でも、そっそれでは、私の気がすまないので…
昨日から色々、ご迷惑をおかけして……」

「あ……じゃあ、今してもらおっかな。お詫び!」
「あ、う、うん。どうしたら…」

言い終わらないうちに俺は黒沼のおでこに
優しくキスをした。

「もーらった!!」
最高にいい気分になってにっこりとほほ笑んだ。



キャンプ場に戻ると、もう荷造りがすんでいた。

「爽子! 心配したよ~。大丈夫だった」
千鶴や、あやねが心配そうに声をかけた。

「うん、心配かけて、ごめんなさい」
「なんか、風早めっちゃ眠そうだけど、
昨日何かあった~?」 あやねが探るように言った。

「えっ!な、何もないよ。私、お酒飲んだらすぐ寝ちゃって。
風早くんに迷惑かけちゃったみたいなんだけど、
全然覚えてなくて。ホント、面目ないです……」
「えっ。風早のヤツ、爽子に酒飲ませたの??
信じらんない! あいつ~~!」
憤慨した千鶴がこぶしをたたいた。

「ち、違うの、私がジュースとお酒間違えて
飲んじゃったみたいで。お風呂あがってから
すぐ寝ちゃったみたいなんだ」慌てて爽子が弁解した。

(フーン、そうだったんだ。風早め。
ラッキーなのか、不運なのか…。
それにしても、せっかく二人きりにしてやったのに、
ホント不憫なヤツ!)
あやねがあきれたように鼻で笑った。



「しょーた。なんか、疲れてるな。大丈夫か?」
ふうっと、帰りのバスの背もたれに深くよりかかった
俺をみて、龍がつぶやいた。

「龍、俺、すっごい、ものすっごい、疲れたよ」

何か、そう、ジェットコースターに乗ってるような感じだった…。
焦りや高揚感、緊張の連続!って感じ。
「マジで…俺、もう、クタクタだよ」

ほんとに俺、カッコ悪いな。余裕が全くなかった。
しかも、しかもだよ。
今考えると酔ってる彼女に手を出すなんて…
あんな、あんなキス… ーーーっ!
思い出すだけで体にまた熱が駆け巡る。
こんな事、黒沼に知られたら…?
わーーーーっ!ゴメンよっ。黒沼!

バスが発車しても俺の動揺はおさまらなかった。
焦りが顔にも出てたのか、吉田が変な目で俺をみてる。

「ちょっと~!風早なんで青くなったり赤くなったりしてんの?」
「千鶴、ほっとけ。しょーたにも色々あるんだろ」
「忙しいヤツ!」
はき捨てるように言われた。

そうだよっ!!
俺は忙しかったんだよ。
この2日間、俺の気持ちは天国と地獄をいったりきたりしてた。
でも、この2日間のおかげで、本当に、本当に
あらためて思い知らされた。
彼女の事、大切に、大事にしていきたいって。
あの時、あのまま自分を見失って、流されていたら、
きっと自分を許せなかった。
あんな風にキスはしてしまったけど…。
でも、それにしても、あのキス……すっごくよかったな……。

再び赤くなってきた顔。
他の奴らに見られないように
家につくまでずっと下を向いて寝たふりをした。


END




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本当に長い時間、稚拙な文章にお付き合い頂き
ありがとうございました。
自分の趣味とはいえ、毎日増えてくるアクセス数をみて、
たくさんの方にご覧頂いてるんだなあと嬉しく思っています。
そのため、たくさんのサイトの中から
わざわざこちらをご訪問頂いているのに、こんなに風早の爽やかさを崩壊させていいのかと自問自答しています。
風爽のイチャコラが好きなのですが、
どーも方向がそっちに行きがちなので…。
とはいえ、大人風早をお好きな方もいらっしゃるようですので、
真夏の果実の拍手数がこのまま増えていくようなら、
時々このくらいの崩壊はアリかなあと思っています。
もし何か、ご意見ありましたら、参考にさせていただきますので
お気軽にコメントくださいませ。

お次は「迷宮」をUPさせます。
お時間ありましたら、
またお付き合いください。
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君に届け大好きな管理人です。仕事の合間に少しづつ、UPしております。 ブログ拍手重視しておりますので、お楽しみ頂ければ、拍手頂けると、日々の励みにさせていただきます。 又、日々の中、努力しながら生み出している作品です。無断転載、複製などは固くお断りいたします。 中傷は困りますがコメント歓迎です。初めての方でも作品の感想などお気軽にどうぞ。

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