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ボーダーライン (6)  R15

こちらの記事は、『君に届け』の二次小説に関する記事です。
原作とは一切、関係ありません。
記事をお読みになる前に、はじめての方は、「はじめに」を必ず、お読み頂いて、ご了承頂ける方のみ、お読みくださいますよう、お願い申しあげます。



こんにちは.
天気もいいし、仕事は休みだしのんびり……と思っていたら
学校から呼び出しが……
どうやら小学2年の息子が友人にやたら口が悪いらしく……。
と、いうわけで今日の夕方行ってきます。
なんだか素行の悪い子どもをもった親になったような気が

お話のほうはさくさくとすすめていきますので、お時間のある方、またおつき合いよろしくお願いします。

注意
このお話はR15くらいのキスシーンがあります。『君に届け』の世界観を大切にされている方、また15歳に達していない方は記事をご覧にならないで下さい。読後の不快感などの対応は一切しかねますので、どうぞご理解の上ご判断をよろしくお願いたします。


ぽぷら





 眠っていたのは数十分くらいだろうか。
 灯りがまぶたの上を通り過ぎては消えていくのを感じて、眠りから目が覚めた。反対側の車線を走りすぎる車のライトが、時々顔を照らし出してくる。いつの間にタクシーに乗せられているらしく、体は心地よい車の振動に揺らされていた。頭はふわふわと、もやがかかったようなのに、体はぽかぽかとぬるま湯に浸っているように心地よい。
 あれ……とおぼろげな中で、記憶をたどってみた。

 普段だったらお酒に手を出すはずなどないのに、今日に限ってはなぜか進んで飲んでしまった。
 気色ばんでいた風早に、健人が慌てて弁解していた様子を思い出す。

「俺、飲ませてないよ。さっき風早からきつ~く言われた通り、宮原の席も貞子ちゃんから一番遠いとこにちゃんと変えているでしょ。ねえ、貞子ちゃん? 一杯しか飲んでないよね」
「うん……サワ―は一杯だけ。でもこのジョッキから、少しだけ飲ませてもらっちゃった」

 うっとりとした気分でテーブルに置かれた空のビールピッチャーを指差すと、風早と健人は顔を見合わせていた。
 そんな会話があったのを、ぼんやりと覚えている。その後、ゆるやかな波に引き込まれるようにして、眠ってしまったのだった。

 隣を見ると風早は目を閉じたままシートにもたれかかっている。体を動かそうとして、手を握られているのに気づいた。しっかりと包み込む温かさに、目許をゆるませる。

「起きた? もう少しで家に着くよ」
「ごめんなさい、私、いつの間に……!?」
「黒沼、ちょっとうたたねしちゃったから、先に抜けさせてもらったんだ。俺も今日は早上がりだったから、ちょうど良かったよ」
「ご面倒をおかけしまして……」
「いいよ。でもあんな水みたいな酒なのにね」
「……美味しかったから、つい。でももうちょっと飲みたかったなあ……」
 ビールもフレッシュさを感じて美味しかったけど、サワーのさわやかな甘酸っぱさにコクコクと飲み進めてしまった。「また行きたいな」と薄い笑みをこぼすと、風早は慌てて首を振った。
「だめだよ。絶対だめ。俺がいたから今日は特別だよ。お酒飲みたいなら、俺が連れて行くから」
「本当に? 楽しみだなあ。また行きたい」

 風早の肩にことんと頭をのせる。
 お酒の力のせいか、何だか今は些細なことでもとてもうれしい。とりとめない会話を続ける中で、気分は無性にはしゃぎたいような、浮かれ切ったような高揚を感じている。
 赤信号でタクシーが停止しているとき、ふと外に目をやった。道路に面した広場の円形の噴水から、水の噴き出しているのが見える。一定の時刻になると噴き出す仕組みなのか、ライトアップされた水の色は柔らかな赤や黄色に染められている。夜のくらがりの中、光の帯びは重ねられて浮かびあがり、儚い夢の世界の空間のように見える。

「風早くん、噴水がすごくきれいだよ」 
「うん」
「雪の降り出す前に、お天気のいい日があったらまた公園でお弁当食べようね」
「うん」
 タクシーの走り過ぎる合間に何かを見つける度に、「風早くん」と何度も話しかけた。けれども、風早は、気もそぞろな返事しか返さない。
「風早くん……さっきから何言っても、うん、としかいってない……」

 普段より幾分か気は大きくなっているせいか、上目遣いで拗ねたように風早を見上げた。見つめ続けていると風早は、ほんの少しだけ諦めたような顔をして見つめ返した。
「うん、そうだね」
「ほら、また……」
 話しているうちに再び眠気に襲われてきたので、甘えるように風早の腕に自分の腕を絡ませた。広い肩にもたれかかりぴったりと頬をつける。
 ふれ合わせているところから流れ込んでくる風早くんの温かみは、とても心地よい。ひどく安心できるから、ずっと、こうしていたいな……。
 巻き付けた腕にぎゅっと力を込めると、風早は少し困ったように柔らかな微笑みを向けてきた。半分ぼやけてしまっている頭を持ち上げながら、夢見心地でつぶやく。
「ずっと、いっしょに、いたいな……」
 襲ってくる睡魔に打ち勝てずに、どんどん語尾は小さくなり、徐々に意識は遠のいていく。
 大きな手のひらにこめかみにかかった髪をかきあげられ、何かを耳元でささやかれた。けれども、あっという間に消え去っていく意識の中で、その言葉は耳には残らなかった。

 ふわふわとした眠り心地から引っ張り出されたのは、タクシーのドアの開いた時だった。一気に車内に流れ込む冷たい夜風に吹きつけられ、一瞬のうちに目が覚める。車から降りて一歩踏み出した途端に、冷たい風にさらされ、肩をすぼめた。
「寒いな」
 少し足をふらつかせていると、風早は腕をとって支えてくれた。完全に酔いの覚めていないのか、ドアを開けようとしても、指先に力は入らず鍵穴に入らない。
「大丈夫?」と気遣った風早はにドアを開けてくれた。ソファに座らせた爽子にグラス一杯の水を用意し、心配そうに顔を覗き込む。 コートを脱ぐことのないまま、ソファに腰掛けた風早の隣で遠慮がちに口を開いた。

「あの……今日は怒らせてごめんなさい」
「怒らせるって何?」
「宮原君は悪い人じゃないんだけど、その、ちょっと予期しない行動をとる時があって。風早くんの気分を害したんじゃないかと思ってたの」
「…………」
「風早くん?」
「あ……ごめん。黒沼に言われて今、ちょっと考えた。あんな態度じゃなくて、もうちょっと別の対応できたんじゃないかって。黒沼が気にするような態度をとった俺も良くなかったなあって。恥ずかしいけど、もうちょっと冷静になれるといいんだけどね」
「わっ、私も風早くんのことで、冷静になれない時、いっぱいあるよ。その……うまく、言えないけど……」
「そっか」
 うれしそうに笑いかける風早の様子はとても穏やかで落ち着いていた。ほっとして一息つく。
「あのね……もう一つ言いたいことっていうか、お誘いがあるんだけど」
「お誘い?」 

 風早の笑顔に勇気をもらったものの、胸の中で何度もためらう。言ってもいいのだろうかと、嫌になるほど反芻した挙句に結局口に出せずにごくりと言葉を飲み込んでしまった。それでも「何?」という優しい問いかけに促されて口を開いた。

「あの、今度一緒に……どうかなって。その試験も終わったし、風早くんのお仕事のない時にでも」
「ん? どこか行きたいの? いいよ、どこいく?」
「その……あの……」
 旅行というたった4文字の単語のハードルがこれほど高いとは思わなかった。なかなか踏ん切りのつかずに下を向く。
「どこ?」
「り、り……りょ」
「り?」
旅行に

 聞こえたかどうかわからないくらいの、小さな声で答えた。聞こえたかなと心配になる反面、聞こえてほしくないとも思う。
「旅行?」
 大きな声で疑問を投げかけられて、「そうだ」と肯定するのは余計に恥ずかしくなった。何も返事をしない爽子の目を見て、風早はわずかに取り乱した色の視線を向けてくる。
「黒沼、まだ酔ってる?」
「酔ってないよ。もう酔ってなんかいない」
「じゃあ、どうして急にそんなこと? 前に旅行の話をした時は何も言わなかったよね」
 目まいを起こしそうになるくらい首を横に振って否定してから、なんて答えればよいものかと一瞬迷ってしまった。
 確かにあの時ははっきり行きたいと意志表示しなかったし、うまく答えられなくて気まずい思いをしたせいか、旅行の話もあれ以来ぷっつりと消えていた。今になって改めて言い出した爽子に、風早の問いは最なように思えるけれども、今の気持ちをうまく説明できる自信はない。
 それでもこの前旅行の話が出たときは、確か「ランチでも行く?」みたいな話と同じレベルの軽いノリで風早は言っていた。なぜ「行きたい」と勇気を出して誘ってみた自分は問い詰められるのか、風早の問いの意味に違和感を覚えてしまう。

「もしかして……俺に気を遣ってる?」
「そっそうじゃないよ。気を遣ってなんかいないよ」
「じゃあ、どうして急に? 前に俺が聞いた時は行きたいって言わなかったのに」
「いいよ」という軽い返事を期待していたはずなのに、予期せず問い詰められてしまい分かりやすく顔を真っ赤にしてしまった。
 だって、あの時と今とは大分自分の気持ちは変わっている。ただ行きたくなったからなんて、単純に答えてしまってもいいものか分からない。すぐに答えられずに妙な間を開けてしまい、余計に緊張した。

「あ……あの……風早くんと……少しでも一緒に長くいれたらって……そう思って……」
 しばらく風早は爽子をみつめていたけれども、ひどく居心地悪そうだった。細く長い息をつく。
「黒沼が悪い」

「え?」と顔をあげた瞬間に頭を抱えて上を向かされた。強く体を引き寄せられて、唇を押しつけられる。
 顔のあらゆる角度から奪うような激しさで、風早に唇を強く吸われた。背中に回された腕の力は、体を拘束するように強い。
「好きだよ。だから大事にしたい」
 互いの吐息を感じられる距離から囁かれて、耳元をため息でなぶられる。視線を伏せると宥めるように軽く頬をたどられ、唇は、またすぐに深く重ねられた。
 隙間から滑り込んできた温かな舌は、潤んだ熱を伝えるように何度も吸ってくる。
 大胆に動きまわる口の中の熱とは対照的に、髪に通してくる指は優しい。甘い感触にかき回されて吐息をこぼした。
 指の先まで徐々に甘い感覚の満ちていくような錯覚を覚えていく中、頭の芯だけは蕩けるように痺れていく。
 重ねられる唇は奪うように情熱的なのに、羽のようなやわらかさで頬を撫でてくる風早の手は、唯一無二のものに触れるように優しかった。

 体の力はすっかり抜けきり、段々と体重をかけられ、のしかかられるままにソファの上に二人で倒れ込む。  
 情熱的に翻弄してくるしなやかな熱に、戸惑いつつもこたえると、さらにとけ合おうと激しく責めてくる。互いの吐息をからめながら、風早の唇は爽子を愛しむ。
 唇は肌をたどって首すじに移動していき、耳の付け根や首すじを軽く吸われた。肌に風早の熱い吐息を感じているだけで、心臓は破れそうに高鳴っていく。
 体の中心からとけそうな感覚に身をゆだねていると、ブラウスの隙間から風早の指は滑り込んできた。素肌に触れられた途端に、ふいの動作に急に体は覚醒したように大きくはずんだ。
「やっ      
 力任せに強く胸を押し返すと、風早はすぐに体を離した。まるで爽子の反応をあらかじめ予測していたように、その瞳は冷静な色を帯びている。

「黒沼、ガチガチだね」
「ごっ、ごめんなさい。今のはその……驚いてしまって。決して嫌とかそういうのじゃないの……」
 ふれられることは嫌じゃないのに、妙な緊張に耐えられなくなるのか、いちいち、びくついてしまう。やさしい腕の中にずっといたいはずなのに。

「いいよ。気にしてないから」
「あの……風早くんといっしょにいたいのは本当で、だから、その旅行に行きたいとも思うし……」
「黒沼、それ、よく考えていってる?」
「も……もちろんだよ。色々考えてるよ」
「旅行になんて行ったら、俺は考えなしのことをしてしまいそうになるから怖いよ。俺自身も、たががはずれたら、正直どうなるのか保障できないんだ。でも、黒沼のことで後悔したくない。      大切だから」

 かすかに笑っているようなのに、どこを見ているか分からない瞳に不安を覚えた。そこには感情的なものはなく、あくまでも冷静に諭すような言いかただった。冷静な風早の態度になにかいいたくなったけれども、うまく言葉を伝えきれる自信はない。胸の奥でかすかにざわめくものに不安を感じた。

「ごめん。俺、しゃべりすぎてる。とにかく、黒沼は      無理することない」
 風早はまるで自分に言い聞かせるように、言葉をゆっくりと継ぐ。
「黒沼は、俺が近くにいるのを緊張しているのかと思えば、何事もなかったように一緒にいたいとか、口にだす。そうすると俺もかっこわるいくらい余裕なくなる。どう対応していいのか、困るな」
 風早は爽子をしばらく見つめてからハアとため息をつき、迷いを断ち切るように首を振った。
 もうこれ以上は何もいわないでほしい。そんな目をして乾いた笑いをする。
「旅行はまだ早いでしょ」
 そう呟いたっきり爽子に背を向けて立ちあがった。


















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