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ボーダーライン (1)

こちらの記事は、『君に届け』の二次小説に関する記事です。
原作とは一切、関係ありません。内容も全く異なっております。
記事をお読みになる前に、はじめての方は、「はじめに」を必ず、お読み下さい。
管理人のお話をつくる上でのスタンスが書いてありますのでこちらの趣旨にご了承頂ける方のみ、お読みくださいますよう、お願い申しあげます。




こちらの新作は、そのものズバリ、二人の結ばれるまでの過程を書いていく作品です。作品案内には全て高校時代のお話と書いてありますが、こちらは大学生時代のお話です。設定も管理人の好き勝手な設定を詰め込んでおりますので、ご了承ください。又ピュアだけでは終わりません。Rのシーンもそのものズバリでしっかり書く予定(こちらはパスワード管理でカギをかけます)なので、原作の世界観を大切にされている方は、絶対にご覧にならないでください。

くどくなってしまいますが、今回の話しは、
ウブウブではありません。内容は大人のお話です。しかも、R18記事を途中はさみます。
それでもいいよ、という方のみ閲覧ください。

長ったらしくなってしまってすみません。云々のお話は苦手なのですが、できるだけ、楽しんでいただきたいという気持ちのあらわれと、ご理解ください。

ここから進まれる方は、またお付き合いよろしくお願いたします。

それにしても、更新が……ほんっとに遅れております。
仕事が繁忙期突入のために、もろに影響を受けてしまっております。
どうぞ、長い目で見て頂ければと思います。



ぽぷら











この街の秋は短い。
まだまだ雪の季節には遠いはずなのに、秋も半ばに入る頃には、とがった寒さをふくんだ空気があたりに満ちてきて、夕方になるともう寒さを感じる。
爽子が太陽の沈みかけた藍色の空を仰ぎ見ると、わずかに残っている薄い夕焼け雲が風に流されている。頬をなでる空気がぴんと張り詰めていくのを感じる。
冴えた空気を吸い込みながら、もうすぐマフラーと厚手のコートを出さなきゃと、思いをめぐらせた。


風早と出会ってから、もう幾度の秋を迎えただろうか。
季節は瞬く間に過ぎていき、気がついた時には、二人とも大学2年生になっていた。年が明けて、淡い花びらの舞い散る桜の季節には3年生になり、就職に関してもそろそろ考えはじめなくてはいけない。

爽子が待ち合わせ場所に向かって歩いていると、目印となる大きな噴水のある公園が、通りの向こう側に見えてきた。
信号待ちをしている間に、何かがはためくような音に気をとられて、振り向く。
いくつもの店が通り沿いに立ち並ぶ中に、一軒の旅行会社がみえる。
店頭に飾られているパンフレットが、気まぐれな風にページをめくられている。

道行く人の目につくように計算して並べられたパンフレットは、いかにも好奇心を刺激しそうな写真を表紙にしている。
爽子の足が止まったのは、その写真の中に、見覚えのある風景を目にしたからだ。
記憶をたぐりよせながら、パンフレットを手にとる。

もう、何年前になるのだろう? 家族の優しい思い出とともに記憶に残る風景は、何度も行った覚えのある、目にも鮮やかな花々が作り出す田園風景の写真だった。広大な花畑の広がるその場所には、花の好きな爽子の為に、長い休みになると両親がよく連れて行ってくれた。やわらかな紫のじゅうたんから香ってくる清々しい香りは、はっきりと記憶に残り、豊かな香りは今も懐かしい。今の時期ならコスモスなどの秋の花々が見れるはずだ。
思い出すうちに和やかな気持ちになり、ふふっと笑みをこぼしていると、背後から穏やかな声が耳に届いた。

「お待たせ、何見てるの?」

手元のパンフレットを風早は「どれどれ」とのぞきこんでくる。
風早と爽子は札幌市内の別の大学に通い、それぞれ一人暮らしをしている。久しぶりに会うわけではなかったが、高校で毎日顔を会わせていたせいか、少しでも顔のみれない日が続くと、しばらくぶりに会ったような気になってしまう。
その証拠に、手元をのぞきこまれて、互いの髪のふれそうな距離に近づいただけで、ひそかな胸の鼓動が鳴りやまない。
ああ、もう、とこっそりと確認するように火照る頬をさわった。

「こっ、ここは、前に家族でよく行ってた場所なの」

「ここ」と指差すとさらに近くに顔を寄せられた。
こうやって意図することなく急に近づいたりすると、つきあってもう何年もたつのに、いまだにいちいちどきどきしてしまう。
自分でもどうかしていると思うけれども、こればっかりはいくら笑われても治らない。

「すごく、いい場所なんだよ。
すぐ近くに料理の美味しいペンションが建ってて、いつもそこに泊るの」

「へえ? 良さそうだね」

うれしそうに話しだす爽子の様子に感じ入ったようで、風早は目を細め笑ってくれた。
昔から変わらない、人懐っこい笑顔は大学生になっても相変わらずだ。

風早の外見は今でもあまりかわってはおらず、派手な服装や髪形をしているわけではない。それでも立っているだけで、ごく自然に目を引くような涼やかな存在感は健在だ。昔と変わらずに風早のまわりには、ふんわりと爽やかな風が吹いているように思える。

「風早くん、よかったら、お仕事が休みの時でも一緒に旅行してみない?」

爽子とパンフレットに交互に目を向けながら、戸惑うように風早は目を瞬かせた。
探るような視線を爽子にむけてきて、「うーん」と口許に手をやってしばらく考え込むような仕草をする。
てっきり気軽に了解してくれるものとふんでいたので、言葉に詰まっているような風早の様子に、首をひねった。
黙ったままの風早は、思わずずドキリとするような真っすぐな眼差しを爽子に向けている。そのうちに、唇の両端をふっとあげて、目を細めた。

「旅行って泊りがけだよね? 黒沼からのお誘いって考えていーのかなあ?」

「えっ? あっ? え      っ!」

そういえば、ペンションなら当然宿泊する必要があるけれども、二人っきりで旅行なんて、今だにまだ一度も行った経験はない。深く考えないままで口に出してしまった言葉の意味の大胆さに気がついて、みっともなくうろたえた。

「かっ、風早くんは……」

「俺?」

からかうような目をして、風早の顔が間近に迫ってきたせいか、余計に焦ってしまい、ますますマトモに思考が働かない。
こういう場合は、彼女の立場からするとなんて答えればいいのだろう?
行きたいって口に出さないと失礼な気もするけれども、そんなことを女の子から口にするのは、はしたないと遠慮するべきなのか。
それに、こんな時は一体どういう顔をしたらいいんだろう?
変な汗をかいてきて、どう答えたらいいのか、全く分からなくなった。

「かっ、風早くんが、行きたいなら、お、お供します」

やっとの思いで、絞り出すように声をだした。
頬の火照るのを止められずに、そのまま風早に判断をゆだねてしまうことにする。
風早はどこか困ったように笑っていて、その瞳には理解できない微妙な色合いが見える。

二人の間に奇妙な沈黙が落ちてきて、変な間を呼びよせてしまったと、後悔をしはじめる。風早は爽子をたっぷりと眺めてから、苦笑いをしながら口を開いた。

「……いいの? じゃあ      一緒に行こうか?」といって意味深の視線をチラリと向けてきた。

まさかの返事に頭の中はパニックになり、「え?      え?」とあとずさりしてしまった時、軽く笑った風早に、腕をつかまれて引き寄せられた。

「ウソだよー! それにしても、そんなに怯えられると、俺、ちょっとショックかも」

しようがないなと、軽く笑われた。ほっとして大きく肩を下げた爽子の態度を見越していたかのように、いつもとあまり変わらない微笑みで。

「そんなっ……! おびえてなんかいないよ」

あわてて否定はしたものの、大げさに反応してしまって、きっと動揺丸わかりだったのだろう。語尾はだんだんと消え入りそうになり、顔はこれ以上ないくらい真っ赤になっているのが分かる。
のぼせあがった頭の熱はなかなか冷めてくれずに、しばらく風早に顔を向けられなかった。




その日は北海道の三大夜景といわれる展望台に、一度のぼってみようと話をしていた。展望台は札幌の中心街よりも少し南に位置するために、早めに夕食をすませてから、山麓行きの市電に乗りこむ。

「黒沼、こっちの方って今までに来たことある?」

「うーん」と座席にもたれながら車内の路線図に目をやると、何となく覚えのある駅がいくつかある。市電を使って来たのではないけれど、小学校の点在しているこの付近には、サークルの活動で訪れた覚えはあった。

「え……と、この辺の小学校にサークルで来たことある」

「ああ、三浦も一緒のやつ? しばらく会ってないけど、あいつ元気なの?」

「うん、変わらずに、元気だよ。いつも私に何かと気をつかってくれて、よく声をかけてもらってる。 『風早と爽子ちゃんは変わりない?』って聞かれて、風早くんも元気だよっていったんだ」

爽子の所属しているのは、児童相手のレクリエーションサークルだ。レクリエーションサークルと聞くと、何をやっているのか得体のしれない感じを受けるが、その実は遊びを中心とした他のサークルとは一線をおいた、真面目な活動をしている。小学校を回って子どもたちの前で劇をやったり、一緒にゲームなどレク活動を行ったりと、爽子らしく生真面目なサークル活動をしている。


「今度、師匠にサークルの中の仲の良い人達で、お酒飲みに行こうって誘われたの。まだ、日にちとかは決まってないみたいだけど、みんなでお酒飲むのなんて歓迎会以来だからすごく楽しみにしてるんだ」

「ふうん?」

「師匠ってば、私におかしなこと、いうんだよ。
『貞子ちゃんも、年頃だから、周りにいる男にも、もうちょっと気をつけないとね』って。
それで、『どんなことに気をつければいいの』って聞いても、ニコニコ笑うだけで教えてくれないの。『秘密だよ』って。
でも、それでも歓迎会とかでは、必ず隣にすわってくれて、みんなと話しやすくしてもらってる。      おかしいでしょ、お母さんみたいで」

風早はちょっと複雑そうな表情をみせたが、やがて少し伸びた髪をくしゃっとかき乱して、天井を仰いだ。
「なーに?」と不思議そうな顔を見せる爽子を前に、何か思い当たるのか、かるくため息をつく。

「女の子が多いんだっけ?」

「うん、ほとんど女の子かな? 男の子は3割くらいで、みんな力仕事を頑張ってくれてる」

「そう」と相づちをうつ風早は相変わらず難しい顔をしたままだ。
高校の頃から垣間見せる爽子の無防備な素直さは、疑うことを知らなすぎて、場合によっては欠点になり得る場合もある。
風早は腕組みをしながら、一人で納得したようにうなづき、「三浦に今度おごらないと」と訳知り顔でつぶやいた。

「まあ、でも良かった。黒沼が楽しそうな顔して話をしてくれるから。 
最初の頃は心配してたよね? みんなと仲良くなれるかなあって」

そういえば、大学に入ったばかりのころは、キャンパスの中でも、サークルの中でも、慣れない場所、慣れない人たちの中で空回りして、いつ自分がとてつもない失敗をしでかしてしまうんじゃないかと、ヒヤヒヤしていた。
三浦が偶然同じサークルだったと知った時は、心底安心したものだ。

「大学も違って、最初は俺も心配だったから、よく覚えてる。『みんなと仲良くするためには、どうしたらいいんだろう』ってよく言ってたよね」

うん、と噛みしめるように、ゆっくりとうなづく。
みんなと仲良くなりたいって、昔は一人で考えていた。
壁をこわすためにはどうしたらいいんだろうって。でも、今は風早くんが隣にいてくれる。『大丈夫だよ』『がんばれ』と元気づけられるたびに、一人では決して手に入らない勇気を、風早くんから分け与えてもらっている。

「風早くんのおかげだよ」

「俺の? なんで?」

「本当に、すごく、すごく、感謝してるの!」

ありがとうの思いを心にこめて口にしたが、爽子の言葉の意味をさっぱりわかっていないようで、風早は「よくわからないな」聞き返してきた。

「みんなと話す時に、風早くんの顔が思い浮かぶんだ」

うまく話せなかったらどうしよう……と不安がこみ上げてきても、風早の言葉を思い出すだけで、不思議と落ち着く自分がいる。高校時代と変わらずに今でも見守ってもらえているように。
胸の内にほのかな思いが広がったので、じっとみつめてしまったせいか、風早は少し目もとを赤く染めている。

「そうすると、あまり緊張せずに、みんなに話しかけられるの。それで、気づいたら、もう友達になれてて」

うん、とうなづいて風早はやわらかい笑みを爽子に向けた。
爽子の役にたててうれしい、とそんな気持ちのこもった優しい笑みで。

「何もしてない。黒沼が頑張ってるだけだよ。でも黒沼がそう思ってくれるなら、
知らないところで、俺も役に立ってるんだな」

「うん、ありがとうっていつも思ってる」

風早くんのおかげなんだよって、本当にいつも思ってる。
いつもあやまられてばかりだったのに、みんなの中に溶け込めるようになって、ここ数年で自分でも驚くほど変われた。
それも全て風早くんに出会えたおかげで、大げさじゃなくて、本当に風早くんがいなかったら、人生違ってたと思う。
普通の人に比べたらまだまだなのかもしれないけれど、昔に比べたら大分自分の気持ちを伝えられるようになったと、心底思っている。

誰かに勇気づけてもらえたのは、高校一年のあの時がはじめてだった。
二人で、川原に座って空の色が変わっていくのを眺めて過ごした時間は、
心の中の大切な宝箱の中に入れられている。
『がんばれ、大丈夫だよ』っていってくれた風早の笑顔はオレンジ色に染められて、
まぶしくて真っすぐ見れなかった。
あの時は、マルちゃんを見つけたのが、きっかけになったなあと、懐かしい思いが胸をよぎった。

「ほんとうに、心からそう思ってるんだよ」

感謝とか、ありがとうとか、そんなありふれた言葉以外でこの想いを伝える方法はないのだろうか。もどかしい気持ちを抱えて風早をじっと見つめた。

「黒沼が一生懸命だったからだよ」

風早は少し照れくさそうに目元を緩めた。
それでも目を離せずに、思いを伝える方法はないものかと、あきらめきれずに見つめ続けると、風早の目に不思議な色が浮かんだ。奥に熱のこもったような、不思議な色合いの瞳が真っ直ぐに見つめ返す。
引きこまれそうでいて、なぜか違和感を覚える瞳の色に何もいえずにいると、
風早は軽く噴き出した。

「黒沼の目、でっけービー玉みたい」

「ビッ、ビー玉?」

今、ふくみのある意味ありげな視線を向けられた気がしたのだけれども……と、
心に違和感がともったが、風早はいつも通りに爽やかに笑うので一緒に笑った。


ひとしきり笑った後、「もう大分暗くなったね」と、風早は窓の外に目をうつす。
視線の行く先をぼやかすようにして、瞳の奥の熱をさますように。  















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Re: いつも、ありがとう

**みんさま

初コメントありがとうございます。
たくさんのサイトの中から、ご訪問頂いて、コメントを残して頂けるって本当にうれしいことなんです。
過分なおほめの言葉に大変恐縮しております(汗)

妄想をする時には、私自身も時々胸がどきどきしてしまうのですが(怪しいものではありません)、
そんな気持ちを一緒になって味わって頂けているのかなあと思うと、嬉しくもあり、また不思議でもあります。
描写では伝えきれない風早くんの笑顔や爽子ちゃんのかわいさ、拙いながらも、少しでも楽しんで頂けると
うれしいです。
心温まるお言葉をたくさん頂き、こちらこそ、お礼の気持ちでいっぱいです。
カメ更新ですが、すこしずつお話進めていきますので、
またよろしくお願いいたします。   

ぽぷら



Re: 更新

じぇぐんよんさま

こんにちは!
早速コメントありがとうございます。
大学生のお話は初物です。
高校生だと思い切ったRは書けないし、原作のウブウブに引きずられてしまうので、
思い切って大学生にしてみました(^―^) 

1話目はどうしても、説明になりがちだなあと思っていたので、
うれしいお言葉を頂いて、良かった~と、安心しています。

このお話は多分、ラブレターくらいの長編になると思います。
更新がんばっていきますので、お付き合い頂けるとうれしいです。
またまたよろしくお願いしますe-466
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君に届け大好きな管理人です。仕事の合間に少しづつ、UPしております。 ブログ拍手重視しておりますので、お楽しみ頂ければ、拍手頂けると、日々の励みにさせていただきます。 又、日々の中、努力しながら生み出している作品です。無断転載、複製などは固くお断りいたします。 中傷は困りますがコメント歓迎です。初めての方でも作品の感想などお気軽にどうぞ。

ぽぷら

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