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ラヴ・ミッション part 1  (2)

こちらの記事は、『君に届け』の二次小説に関する記事です。
原作とは一切、関係ありません。内容も全く異なっております。
記事をお読みになる前に、はじめての方は、「はじめに」を必ず、お読み頂いて、ご了承頂ける方のみ、お読みくださいますよう、お願い申しあげます。




いつもサイトにご訪問、ありがとうございます!

大分涼しくなってきましたね~。
いよいよ秋到来って感じです。
クーラーもいらなくなってきたし、食欲もわいてきたし!
犬の散歩も楽になってきました。

うっ…………すみません、今日は季節の挨拶しか、書くこと思いつきませんでした。

何となく、何も書かないのはさびしいような気がしちゃいまして(^~^;)ゞ
毎日更新でなくなってから、ここに書くのは少し緊張しちゃいます。

でも、今日は恥ずかしながら、特段、書くことがないっ!!
あ、このお話はpart1で、当然続きますが、多分1のお話は次で一回終わらせます。
ではでは、よろしくお願いたします。










「さてっと」

机の前に座って、早速大事な手帳をカバンから取り出した。
心の準備を整えるために、肩を上下させて息を整える。

あの後、授業はいくら集中しようとしても、さっぱり身に入らなかった。
掃除中にはゴミ箱を蹴り倒してしまい、大きな音をたてたのに、それにも気がつかなかった。
  しょうたくん  
そのことだけで、頭がいっぱいになってしまって。

明日の提出課題がないのは、すでに下校前に確認ずみだし、夕食の手伝いや、後片付けは、手足をてきぱきとフル稼働させて、あっという間に終わらせた。
残っているのは、今日やるべき、一番大事な宿題だけ。

    風早くんの名前を呼ぶための練習。

いきなり名前で呼ぶのが、やっぱり無謀なのは、今日、すでに実証済みだ。
それに、緊張しやすい性格に、ぶっつけ本番は、ムリ。
やっぱり、私に必要なのは、「準備」と「慣れ」だよね……!?

頬づえをつきながら、手帳を見返し、健人との会話を、頭の中で再生した。
名前を呼んだら、喜ばれるっていったよね?
私が感じたみたいに、風早くんも感じてくれる?

風早と、初めてきちんと話した日の出来事が、脳裏によみがえってくる。
今思い返しても、あの時の光景は、ありありと浮かびあがる。


『爽子でしょ、黒沼爽子』

はっきりと覚えている。
爽子と呼んでくれた風早を。
穏やかな声、やわらかな陽射しのような笑顔。

目の覚めるような、鮮やかな若緑をつけた木々の隙間から、日なたがやわらかく、おちていた時。  
撒いたばかりの、すっきりとした水のにおいをすった風が、ゆるく髪をゆらしながら頬の熱をうばっていった瞬間。
自分の名前は、絶対に誰にも呼ばれない、そう思いこんでいた曲がった感情が、温かな空気の中に溶け込んで、あの時、消えさった。
夏服の白いシャツや、向けられた笑顔、全てがまぶしくって、胸がどきどきした。

きっと、一生忘れない。
生まれてはじめて感じた、喜び。
自分の名前が、好きになった瞬間。      恋に落ちた瞬間。
思い起こすだけで、心地よい思いで、胸がいっぱいになる。



「……よしっ!」

早速、実行してみることにした。
「準備」としての心構えはいいとして、「慣れ」のためには、練習しかない。
簡単そうなものから試してみて、ちょっとずつ、自信をつけてみよう。
姿勢を正して、目の前の真っ白い壁をみながら、すーっと大きく息を吸いこんだ。

「……しょ、しょうた、くん」

あれっ!?と思うくらい、意外なくらい、スンナリ口にできた。
心臓の鼓動が、少しだけ早まったのを感じたが、躊躇なくいえたのに、自分でも驚く。

合格! これなら、きっと、優しい笑顔で、こたえてもらえるかな……

名前をよばれて、笑顔でこたえる風早を想像する。
優しい笑み、居心地の良い眼差し。
自然に笑みがこぼれた。

「大丈夫かも!!」

さい先のよいスタートに、ちょっぴり自信がついたので、今度はもうちょっと難しくしてみる。
学校祭の時の、風早の爽やかな笑顔の写真は、何度も眺めて、頬をゆるませているものだ。
淡いパステルカラーのタンスの上に飾ってある。

それを持ち出して、ちょうど目の前にくるように、机の真ん中においた。
笑顔と、向き合う。

「……!」

途端、心臓の鼓動が急に速くなった。
いつも、見慣れている写真のはずなのに、目の前にあるせいだろうか。
どきどきと、心臓が音をたてる。    実物でもないのに。


「……風早くん、大好き」


写真に向かって、つぶやく。
俺も、黒沼が、好きだよと、頭の中で風早がこたえる。
次第に頬に熱が集まってくるのを感じて、「きゃっ!」と思わず両手で顔をおおった時に、ハッと気がついた。

「だ、だめー! こんなんじゃ!!」

名前をよぶのとは全然違う方向に、脱線してしまった。
今は一人で照れている場合じゃなかった!

「イタッ!」
自分を戒めるために、頭を軽くはたいてから、もう一度写真と目を合わせた。
目の高さに写真を置いたせいか、本物に笑いかけられているようだ。
実物ではないとはいえ、ずっと見つめていると、段々と緊張してくる。
目をつぶったまま、深呼吸をくりかえし、名前を呼ぶ練習をはじめた。

結果は……ひどかった。
スタートの順調さが、嘘のようにさんざんだった。
何度やっても、言葉にならない、かわいた息だけが、口から洩れていく。
どんよりとした気持ちが襲ってきて、机に突っ伏した。

「もーお、どうして!?」

思わず、不満が口をついて、ため息がもれた。
たった一言なのに、なかなか口にできない自分が歯がゆい。

先日の出来事が頭の中をよぎり、風早が、気軽に名前をよばれていたことを思い出した。
あの女の子たちは、簡単に「しょうたくん」って呼んでいたのに、どうして思い通りにいえないんだろう。
どんどん気持ちがしおれていく。
突っ伏したままで、顔があげられない。
落ちていく気持ちとは裏腹に、高揚した胸の鼓動が、まだおさまらない。

「が、がんばらなきゃ!!」
動かなければ、何もはじまらない。
自分を奮い立たせるように、シャキっと背すじを伸ばして、頬をピタピタとたたいた。



翌日の朝は、雨の降る気配はなかったが、薄く曇っている朝だったらしい。
らしいというのは、朝から気負っていたために、天気のことまで、気が回らなかったせいだ。
「雨降るから、傘もっていってね」との、出がけの母のよびかけにも無反応にでていったために、わざわざ持ってこさせてしまった。
学校についてからも、どうにもソワソワがおさまらない。
やたらと時間が長く感じられた。


「師匠、ちょっとお願いがあって、いいかな?」

昼休みを告げるチャイムが鳴ったと同時に、大急ぎで健人の袖をひっぱった。
行き先は屋上へと続く、階段の途中にある踊り場で、普段は立ち入り禁止の札がかかっている。
誰も入らないため、ひと気のないここなら、安心して練習ができそうだ。

結局のところ、昨日はうまくいったとは、とてもいえない出来だった。
しょ、しょ、と何回、連発しただろう?
最後に顔をふせて、目をつぶった状態でなんとか「しょうたくん」と、それも、小さな虫が鳴くようなか細い声で、ようやくいえた。

このままではいけない……と、頭をひねった末に、誰かに風早の代わりをしてもらい、練習につきあってもらおうと、思いついた。
目の前に、ちゃんとした相手がいてくれたほうがいいんじゃないかと、苦肉の策だ。
もちろん、相手は男子が良くって、それもお願いできるのは、師匠しかいなくって……



「やっぱり、俺、女の子の味方だし、貞子ちゃんには、幸せになってほしいからねー」

ご機嫌な様子で、健人は二つ返事で、引きうけてくれた。
自分のアドバイスを素直に聞き入れられて、よほどうれしいのか、口もとをゆるめながら、十分、乗り気らしい。
よろしくお願いします!と頼みこんで早速はじめる。

「じゃあさー、雰囲気だすために、俺が爽子っていうから、そこで、しょうたくんって呼んでね」

やる気満々らしく、アドリブまでいれられた。
楽しそうな、にこにこ笑顔の前で、ハイッっとうなづく。


「爽子」

「ハイッ……!!」

「爽子」

「ハイッ……」


何度かくりかえすが、条件反射のようにハイとしかいえない。
胸の鼓動を静めるために、深呼吸をしていると、見かねたような健人がアドバイスをいれた。


「だからさ、やっぱり、甘い雰囲気にすれば呼びやすいと思うよ。
ホラ、自分から腕組むとか、風早になんか、かわいくおねだりするとか、色々あるよね? そんなに難しく考える必要ないんじゃない?」


「おっ、おねだり!?」


そんな脳みそが沸騰するような、まるで別世界の恋人たちのような行為を、恥ずかしげなく簡単にできるなら、名前を呼ぶのに、こんなに四苦八苦するわけがない。
力なく、適当に「そうですね……」と返した。

もしかして、言葉が出てこずに、緊張してしまうのは、「爽子」と呼ばれるからかも!?

「爽子」と、聞いた途端、普段呼ばれない自分の名前が気になって、どきどきしてしまうのに、気がついた。
早速今度は「爽子」なしでやってもらうことにする。


「あの、師匠、今度は私から呼びかけていい?」

「いーよお。貞子ちゃん、肩の力抜いて! リラックスね、リラックス!!」


緊張を少しでもほぐしてやろうと思ったのか、両手で肩をぽんぽんとたたかれた。
だが、機嫌良く動かしていた手が、急にピタリと止まった。
視線は、爽子の後方に定めたままだ。


「……か、かぜはやく~~ん、いつから、いたの?」


え? 風早くん?
驚いて、反射的に後ろを振り向くと、
風早が、腕組みをしながら、階段の手すりに寄りかかっている。
明らかに面白くなさそうな表情で、不機嫌という言葉がぴったりの顔だ。


「……今だよ」


心なしか、声音が冷ややかな、気がする。


「二人で……何してんの、こんなとこで?」


訝しむような視線を、爽子と健人に交互に向けながら、ゆっくりと近づいてきた。
静かな階段に、足音がやけに響きわたる。
緊張感を帯びた空気を、少しでも和らげようと、健人がなだめるように、風早の肩をもみだした。


「か、風早くん? め、目が光ってマスヨー?」

「……光ってねーよ。」


余計なことをいう健人に、風早が眉をひそめる。


「まーまー、まあ、そう怒らないで。
俺たち、ちょっと風早を喜ばせるための相談してただけなんだから。
しょうたくんためよ、しょうたくんのため!
大人の男、大人の男、だよね! しょうたくん!」


何だか、健人に対する風早の態度が固い。
健人もそれを敏感に感じとったようで、ご機嫌とりのセリフをいいながら、肩においた手を一生懸命動かしている。


「気持ち悪い呼び方すんなよっ!」


さも、嫌そうな顔をして、風早が、健人の腕を払うために、大きく肩を揺らした。

気持ち悪い呼び方……!?

風早の言葉が、胸に突き刺さった。
今、風早くん、気持ち悪いっていったよね……!?
「しょうたくん」って、風早くんにとって気持ち悪い呼び方……!?


「貞子ちゃん、俺、先に戻ってるね。
あ、さっきの練習のやつ、必ず、風早にいってやんなよ。
すぐ機嫌直ってノロケ顔、見れるから」


自分には手に負えないと悟ったのか、「がんばれ」と耳打ちされた。
目の前で風早が眉をひそめたのにも、健人は全く気づいていない。
小気味良いステップを踏むように足軽に階段を下りていく。


「おいっ! ノロケ顔ってなんだよっ!」

手すり越しに健人を見下ろした風早が、言葉を投げつけた。
三浦は、一体何をいってるんだ、と腹立たしそうに、眉をひそめたままだ。

風早くん、何だかイラ立ってる?
いつもと違う、風早のいらついたような口調に、不安を感じた。
健人が風早にちょっかいを出すのは、いつものことだ。
だが、風早は腹立たしそうな素振りを見せながらも、悪びれない健人に好感をもっているのか、口では色々いいながらも、さらりと受け流している。
なのに今の風早は、心底気分を害しているようで、いつもの余裕を全く感じられない。

もしかしたら、風早くん、師匠じゃなくて、私のこと、怒ってる……!?

もしかして…………?
彼女なのに、他の男の子と二人っきりでいるなんて、彼女らしくないこと、しちゃったから!?
風早は理由もなく怒るような人ではない。
もし、風早が自分に怒っているのなら、文句なく、自分が悪いと、無条件に思える。


「黒沼……こんなとこで、二人で何してたの?」


何してた?といわれて、うっと返答につまった。
何て答えればいい?

    しょうたくんって、名前を呼びたくて練習していました。
これが、真実……なのだが、気持ち悪いなんて、目の前でハッキリいわれたのに、それを正直にいったら、風早が気分を害するのは目に見えている。
にも関わらず、本人を目の前にして、本当のことを図々しくいえる程、強い心臓は持ち合わせていない。

    いっ、いえるわけがない!!

別に隠していたわけではない。
風早に知れた方が、かえって、呼びやすい状況になったかもしれないと、さっきまでは、心からそう思っていた。
こうなった今はもう、師匠とは何もやましくないと、それだけは、ハッキリと伝えたほうがいいだろう。
ここにいる理由が説明できなくても、それが、一番大切な気がする。


「あのね、師匠とは、何もしてなくて! ほんとに、何でもないっていうか……
あの、何もしてなかったわけじゃないんだけど!!
してたことは、風早くんが変に思うようなことじゃないから!」


風早がとまどったような、視線を向けてくる。

    支離滅裂。
肝心な理由をいわずに伝えようとしているせいか、焦っているせいか、口からでた言葉は、なんだかおかしなものだった。
こんな時こそ、師匠にいてほしかったと、心底思う。
きっと師匠ならうまく話してくれただろう。
そういえば、師匠は、気まずい場面になった時に、すぐ機転をきかせて、別の話に切り替えてたよね……!?
落ち着きを取り戻すように一つ息をついて、切り出した。


「風早くん……用事だったんだよね……? わざわざ、探してくれて、ありがとう……」


今ここに風早がいる理由は、何か用事があるからに違いない。
ひとまずその話に切り替えてみようと、考えた。


「別に、ない。ただ、さっき、黒沼が、三浦に声かけてるの見たから」

つぶやいたその声には、拗ねたような色が混じっている。

声かけたの、見た    
仰天するような返事が返ってきた。
上手く返答できないのを誤魔化したら、何だか裏目にでてしまった。
爽子が健人に声をかけたのをみたなら、自分がよびだしたのは、まず、バレバレだ。
爽子が何の用で健人をこんな所に連れてきたのか、風早が聞きたいのはそこだろう。

彼女らしくない行動をして、しかもその理由を話さない。
そんな自分がどう思われたか、考えるだけで、怖くなった。


「俺に、いえない、事……?」


風早がじっと爽子の目を見ている。

い、いえる? いわないほうがいい? どっち!?
視線をどこに定めていいか分からずに、フラフラと泳がせてしまった。

変に誤解されるようなことは、何もしていない。
それなのに、何だか、悪いことをして、尋問されているような気が……!?
どっ、どうしよう……!! まっ、まず話すべき、いや、まずっ、謝るべきだよね!?

何ていおうかと、アタフタしている時に、
窮地に陥った自分を救ってくれるかのように、予鈴が響き渡った。
助かった……と思ったら、急に肩から力が抜ける。
この場を回避できるなら、何でもありがたい。

だが、目の前の風早は、予鈴が鳴ったのに、手すりにもたれかかったままで、
微動だにしない。
正面から向き合えず、こっそりと目の端で表情を確認すると、その横顔は、いかにも不服そうだ。

「かっ、風早くん……チャイムが、チャイムが鳴ったみたいだよ?」

恐る恐る口を開いたが、爽子が何もいわないのが、どうも納得いかないらしい。
一直線な力づよい瞳で、口を引き結んだまま、じっと見つめてくる。



「今日、一緒に帰ろう。イヤ、絶対に、一緒に帰る。 終わったら下で待ってるから」













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