FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Love and Romance Short Stories 2   トラワレビト 2

このお話は、前・後編の予定でしたが、
全3話に変更します。暗いまま終わらせたくなくなりまして……

今回のお話は、原作とは進み方が、違います。
こんなのもありかなあと、思った管理人の勝手な妄想です。
共通点は、いくつかありますが、大分異なっていると思います。

それでもいいよ~と、いう方のみ、お付き合い頂けるとうれしいです。
原作のイメージが、壊れるからイヤ”!という方は、
そっと閉じるボタンにおすすみください。

ラストのお話のUPは、少し先になります。
ホンっと、すみませんが、どうぞ、お付き合い、よろしくお願いします










「……黒沼、どうして?」


さっきまで、風早の影を追っていた。
現実の姿を目にして、目を見開いたまま、体が凍りつく。
信じられないものを見てしまったような強い驚きと、とまどいの色が、風早の表情には、浮かんでいる。

どうしよう……逃げ出したい。
今すぐ、この場から立ち去りたかった。
なのに、足が、凍りついたように、硬直して力が入らない。
全てが、身の程を知らなかった、自分への罰のように思える。


「……そこ、俺の席、だよね」


押し殺したような風早の低い声が、静かな教室の中で、響きわたる。
一歩一歩と、近づいてくる足音に、体がだんだんとすくんでいく。
追い詰められるような息苦しさに襲われ、目まいまで起きそうな気がした。

足音は、すぐに止まった。
風早が、目の前に立っている。
恥ずかしさに顔をあげられなくて、風早の顔が、見れない。
頭上から、食いこむような視線が、体中に突き刺さる。

気持ちがこれ以上ないくらいに動転して、頭の中をぐるぐると、回っていく。
加速していく心臓の鼓動を感じて、息が、とまりそうになった。



「……俺の好きと、黒沼の好きは、違うんでしょ」

耳をふさいでしまいたいような言葉が、もう一度、投げかけられた。
心の傷が再びなぞられて、残っていた宝物が、こなごなに砕け散ってしまうような気がする。


風早の好きと、自分の好きは、違う。
頭の中で、数えきれないくらい繰り返された、風早の、言葉。
もう一度真実を確認するかのように、
問い詰められて、さらに、追い詰められる。


「……なんで?」


答えを知りたいと、熱のこもった声が、頭上から聞こえてくる。
息がどんどん苦しくなっていく。
さっきから、早く立ち去ったほうがいいと、頭の中から声が聞こえてる。
それなのに、足がすくんで、一歩も、動けない。

    どうしよう。

意識をそらさずに、真っすぐに、爽子をみつめながら、風早が答えを待っている。
だが、本当のことは、いえない。
いえば、風早を、困らせてしまうだろう。

忘れてはいけない。
風早に、好きな人がいるということを。
それなのに、今まで、何度も助けてくれて、勇気づけてくれた。
……困らせたくない。

顔をあげらないままで、とぎれとぎれに、言葉をつないでいく。

「……あ、あの、このくらいの……場所からは、
どんな風に見える……のかと、思って」

声が、震えてしまう。
自分の口から出た言葉のはずなのに、まるで、他人の言葉のように、
自分の耳に届く。
何を言ったのかも、よく分からない。
何か、もっとうまい言い返しをして、また、一緒に笑いあって話せるような、
言葉をいいたかった。
それなのに、頭の中では、気持ちばかりが空回りして、気のきいた言葉が、
何も、出てこない。


風早が、天井を仰ぎみて、長い、ため息をつく。
そのまま、何もいわずにゆっくりと、ドアのほうへ向かっていった。

自分の前から立ち去っていく風早を見て、全身の緊張が一気に解けていくのを、
感じた。
緊張感から解放されて、助かった、と、一息つく。

だが、風早は、ドアの前で、しばらく立ち止まったまま、背を向けていた。
そして一瞬のうちに、思いなおしたようにくるりと反転して、引き返してきた。
いきおいに、風早の髪が、少しだけ、流れる。

再び襲ってくる緊張感に、もう、平静さを保ち続けられない。
足が、緊張で、がくがくと震える。
全てを見透かすような、風早のきれいな目が、怖い。
久しぶりに、まっすぐに顔を見た。

    もう、目をそらせない。


「……俺、ちゃんと黒沼の気持ち、聞きたい」

もう一度、真正面から見つめられた。
今、いつもの風早のような、優しい表情は、見当たらない。
しっかりと、爽子をみつめる力強い瞳の中に、何か思いつめたような、不安の色が見え隠れする。
風早のありのままの心に、今、ふれているような、気がした。

危うさを含んだ、真剣な表情に、息をのむ。


「黒沼……好きな人、いるの?」

好きな人……?

掠れた声が、こわばっている。
一点の曇りもない黒い瞳に、心を射抜かれたように、ピクリとも動けない。

    瞳に捕らわれる。

息をつくことも、できない。
まわりからあらゆる音が、消えた。
風早の言葉だけに、意識を集中する。


いる……目の前に、いる。
初めて、好きになった人。
生まれ変わらせてくれた人。
たくさんの特別な気持ちを、教えてくれた人。


まばたきもしない、熱を帯びた深い瞳に、答えてほしいと、求められた。
胸の中に押し込めている言葉を、今、何もかも打ち明けてしまいそうになる。

でも……いえない。
……絶対に、……いえない。
この言葉は風早の負担になるだけだと、
心に言い聞かせて、しっかりと口をつぐんだ。

手を強く握りしめているせいか、指先の色が変わっている。
でも、強く握っていないと、指の先から気持ちがほどけてきて、
心を、全てさらけ出してしまいそうな、気がした。

空気が凝縮したような緊張感の中で、やっとの思いで、口を開く。


「……いる」

それだけいうのが、精一杯だった。
何か一言でもしゃべったら、別の言葉があふれてきそうな気がする。

目じりに涙がたまってきて、まばたきひとつ、できない。
今、泣いてしまったら、きっと、目の前の風早が気にするだろう。
必死の思いで、涙をこらえる。

風早が、痛みをこらえるような表情をみせて、片手で顔を隠した。
隙間からのぞく漆黒の瞳に、苦しそうな色が浮かんでいる。
息をついた風早の肩が、少し落ちたような気がするのは、気のせいだろうか。


「俺……黒沼が好きだよ」


かすかに震えるような声で、わかってほしい、と苦しげな声が聞こえた。
いわれた言葉が、激しく、心の中で反響する。

    好きだよ

この言葉が、本来の意味なら、心が震えるくらい、うれしい言葉のはずだった。
そう、きっと、飛び上がるほどに。
だが、風早のいう意味は、違う。
全然……違う。
それでも、あまりに真っすぐな、風早の瞳に、
誤解したくなってしまう。

    勘違いしちゃ、ダメ。

風早が、たったまま、少しかがみこんで、両手を机についた。
黒い瞳が、目の前に迫る。
瞳に囚われたように、そのまま見つめていると、
ゆっくりと顔が近づいてきて、唇がそっと重なってきた。

わずかに、一瞬、やわらかいものがふれて、はなれた。

今……何?
風早くんが……私の唇にふれた?

何が起きたのか分からずに、目を大きく、開いたままで、風早をみつめる。
風早の行動の意味が分からないまま、声をだすこともできない。
目の前の瞳は、熱い色を宿している。

温かな、風早の心そのものにふれたような、優しい感触に、
こらえていた涙が、ふいに、こぼれおちてきた。
次々と頬をすべり落ちていく涙のしずくを、
まるですくいとるかのように、そっと、風早の唇が、まぶたにふれる。
まつ毛にたまる涙のしずくを、大切なものにふれるように、風早がぬぐいさった。

驚きと、とまどいの混じり合う瞳で、風早を見つめていると、
行き場のない熱い思いをもてあますかのように、風早が、机ごしに抱きしめてきた。

風早……くん……!?

どうしようもない程の、とまどいを感じながらも、甘い幸福感で胸が満たされていく。
だが、その思いに浸る前に、風早に、一瞬のうちに、体を離された。
まるで、自らの思いを断ち切ろうとするかのように、こぶしを強く、握りしめている。


「ごめん……」


耳に謝罪の言葉が届いた。
いつもは、真っすぐに爽子を見つめる瞳が、今は、衝動的な行動を後悔するかのように、伏せっている。
乾いた言葉に、胸がきつく、しめつけられた。

そのまま、風早の足音が、ドアのほうへ向かっていく。


何事もなかったかのように、一人になった静かな教室の中で、風早のふれた部分だけが、温かいぬくもりとして、残された。

そっと、指で確かめるように、自分の唇にふれる。

……違う。
こんな感触じゃなくて、やわらかくて熱を感じるものが、確かにふれていった。
幻のように、一瞬だけふれて、消えた感触。

風早の触れた場所から、無理やりおさえつけて、閉じ込めた気持ちが、あふれ出す。
伝えたい気持ちが、激しく、こみあげてきた、

    届く?

    届くはずがない。

応えてもらえないと、分かってる。

でも、私の気持ちは、間違ってない。
風早くんを、好きな気持ちは、ぜんぶ、ぜんぶ間違っていない。
たとえ、届かなくても。

ただ、ただ、前へ進みたい。

もう一度、しっかりと風早くんの目を見たい。
痛みから目をそらさずに、しっかりと、前を向いて、話がしたい。
どんな、結果でもいい。
前さえ向いてさえいれば、少しづづでも、進んでいける。

今、しっかりと伝えなければ、大切なもの全てが、永久に、
失われてしまうような気がした。
もう、取り返しがつかなくなるような、気がする。

風早の立ち去っていく足音が、
今にも消えそうな最後通告かのように、耳に響く。

震える足をさすりながら、しっかりと力を入れて、立ちあがった。

「風早くん……!!」

ありのままの気持ちを伝えよう。 
止まった時間を、どんな形でもいいから、元に戻したい。



階段を下りていく、風早の足音を目指して、自分の足音を重ねるように、
後を追っていった。













[君に届け 二次小説 風早 爽子] ブログ村キーワード
ランキングに参加しています。ランクインするとたくさんの方が訪問されるので励みになります。
ぽちっと応援していただけるとうれしいです。
にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村







関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

最新記事
プロフィール
君に届け大好きな管理人です。仕事の合間に少しづつ、UPしております。 ブログ拍手重視しておりますので、お楽しみ頂ければ、拍手頂けると、日々の励みにさせていただきます。 又、日々の中、努力しながら生み出している作品です。無断転載、複製などは固くお断りいたします。 中傷は困りますがコメント歓迎です。初めての方でも作品の感想などお気軽にどうぞ。

ぽぷら

Author:ぽぷら
FC2ブログへようこそ!

カテゴリ
月別アーカイブ
ブログランキング
ランキングにもご協力いただけたらうれしいです。お楽しみいただけたら、下のバナーをクリックいただけると、執筆の励みになりますのでよろしくお願いたします。
にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村 FC2 Blog Ranking
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。